DIG MY STYLE 第6章~ちょっと話があるんだけど~
2008年 12月 24日
「DIG MY STYLE / 秋山一将」絶賛発売中!!
例の「僕の選んだメンバーじゃない」事件の日から、半月後だったか、ひと月後だったか、「峰 厚介クインテット」の出演する当日、突然電話口に呼び出される。
電話に出てみると他でもない「秋山一将」からであった。
A「あのぉ、今、お宅の近くの○○っていう鳥屋さんにいるんだけど、もうご飯食べた?
よかったら、これから来ない?ちょっと話があるんだけど・・・。」
T「ええ、別に僕の方は構わないと思うんですが・・・」
返事になっていなかった。良いんだか、悪いんだか判りぁしない応答をしていた。
A「いやぁそのぉ、今日はそちらに出演するから、勿論後でうかがうんだけど、ちょっと2人
で話がしたいんですよ。この間のこととかね。それじゃぁ、待ってます。」
有無を言わさず電話を切られる。
正直ビビッていた。遂に来たか、この時が・・・。
あのままで終わるはずもないとは思っていたけれど・・・。
休み時間に不良グループに校舎の裏とか屋上に呼び出されるいじめっ子の気持ちとはこういうものなんだろうか?などと思いつつ、足早に近所の鳥屋に向かう。
程なくして店に着き、秋山氏と対面に座る。注文を済ませ、コチラから話そうとすると
A「いやぁ、この間はとんだことになっちゃって。」
T「いえ、こちらこそ、いろいろすいませんでしたね。」
A「今度ばかりはちょっと激しくやりあっちゃったから、あなたのお父さんにもう口きいてもら
えないんじゃないかとも思ったんだけど、ついこの間、僕のバンドで出させてもらった時
にごくごく普通に対応してもらったから、ちょっとホッとしてます。」
T「そうですか。」
A「あなたのお父さんとはこれまでも何度かやりあっちゃったことはあるんだけど、
そういう時は必ず第3者が誰かいるときなんだよね。
そうそうそれでね、大体僕は前置きが長くて話してるうちに本題を忘れちゃう。
ああ、そう、この間のセッションのことなんだけど・・・」
T「ええ、はい。」
A「あなたが僕に、いや僕らに何をさせたかったのか、最初は確かに半信半疑だったけ
ど、何となく解った様な気がしてね。」
T「はぁ、そうですか。」
A「うん。『僕の選んだメンバーじゃない』っていうのはね、ある意味どういう結果になるか
正直責任持てません。ってことなんですよ。決して変な意味じゃなくね。だから逆に僕
らはついつい同じメンバーとばかり一緒に演ってしまうところもあってね。そういう意味
ではとっても新鮮だったわけ。特にピアノの丈青なんかは普通に演っててもなかなか
知り合うきっかけがなかったでしょう?」
T「そういうもんですかね?」
A「うん。実は彼とはあの日ちゃっかりお互い連絡先を交換していてね。あなたに紹介し
てもらったのに断りもなく、他の現場の仕事も頼んだりしてるんですよ。」
T「そんなの気にせずどんどんやってもらった方が・・・」
A「そう?それなら良かった。いやぁ、それでこういう企画は月に1~2本位今後もやった
らどうかと思ってね。僕以外のミュージシャンにも頼んでみたらいいんじゃないかな?
勿論、イヤだって言う人も中にはいるかもしれないけど、そうしたらやめればいいじゃ
ない。」
T「ええ。そうですね。ただ、うちの親父はあの企画は
あんまりって感じみたいですけどね。」
A「そぉ?僕は縁あってあなたのお父さんに声をかけてもらって、ずっとお宅で演らせて
もらってるけど、特に80年代の終わりから90年代にかけては、あなたのお父さんは
自分が出演して欲しいミュージシャンは他所のライヴハウスまで追っかけて聴きに
行って交渉してたでしょ?だから、当時ホントに第一線で活躍するミュージシャンが
一つの店のひと月のスケジュールにあれだけ名を連ねていたっていうのは、ちょっと
他にないと思う。言い方は悪いかもしれないけど、ちょっとマフィアのボスみたいな感じ
の勢いがあったよね。」
T「そういうもんでしょうか?」
A「うん。それで話は戻るけど、今回のあなたの、自分が気に入ったミュージシャンを集め
てセッションするっていうとっても贅沢な企画というか発想は、かつてあなたのお父さん
がやってたことに近いものを僕なんかは感じるんだよね。」
T「そうですかねぇ?全く違う発想だと思うんですけど・・・。」
A「まぁ、あなたはイヤかもしれないけど、『親子だなぁ』って思うんだよね。」
T「う~ん・・・。」
A「いやぁ、兎に角、ありがとうございました。また、声かけてください。」
T「いいえ、こちらこそありがとうございました。でも、ホントにいいんですか?」
A「そりゃぁ、誰でもいいって訳じゃないし、嫌な時はイヤだって言いますよ。
あんまり頻繁にだとキツイけど、たまに演ると新鮮でいいかなぁ。」
T「わかりました。」
A「今日は僕は演奏前だし時間ないけど、今度、ゆっくり一杯やりながら、また
話しましょう。どんな音楽好きなのかとか聞いてみたいし・・・。」
T「ええ、勿論です。」
こちらは終始、相槌をうっていただけだが、ホット胸を撫で下ろし安堵した。そしてまた、
「秋山一将」という人と少し打ち解けることが出来た瞬間でもあった。
text by TASCA-T
次回、第7章~Todd Rundgren×ニック・デカロ~ でまたお会いしましょう・・・
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例の「僕の選んだメンバーじゃない」事件の日から、半月後だったか、ひと月後だったか、「峰 厚介クインテット」の出演する当日、突然電話口に呼び出される。
電話に出てみると他でもない「秋山一将」からであった。
A「あのぉ、今、お宅の近くの○○っていう鳥屋さんにいるんだけど、もうご飯食べた?
よかったら、これから来ない?ちょっと話があるんだけど・・・。」
T「ええ、別に僕の方は構わないと思うんですが・・・」
返事になっていなかった。良いんだか、悪いんだか判りぁしない応答をしていた。
A「いやぁそのぉ、今日はそちらに出演するから、勿論後でうかがうんだけど、ちょっと2人
で話がしたいんですよ。この間のこととかね。それじゃぁ、待ってます。」
有無を言わさず電話を切られる。
正直ビビッていた。遂に来たか、この時が・・・。
あのままで終わるはずもないとは思っていたけれど・・・。
休み時間に不良グループに校舎の裏とか屋上に呼び出されるいじめっ子の気持ちとはこういうものなんだろうか?などと思いつつ、足早に近所の鳥屋に向かう。
程なくして店に着き、秋山氏と対面に座る。注文を済ませ、コチラから話そうとすると
A「いやぁ、この間はとんだことになっちゃって。」
T「いえ、こちらこそ、いろいろすいませんでしたね。」
A「今度ばかりはちょっと激しくやりあっちゃったから、あなたのお父さんにもう口きいてもら
えないんじゃないかとも思ったんだけど、ついこの間、僕のバンドで出させてもらった時
にごくごく普通に対応してもらったから、ちょっとホッとしてます。」
T「そうですか。」
A「あなたのお父さんとはこれまでも何度かやりあっちゃったことはあるんだけど、
そういう時は必ず第3者が誰かいるときなんだよね。
そうそうそれでね、大体僕は前置きが長くて話してるうちに本題を忘れちゃう。
ああ、そう、この間のセッションのことなんだけど・・・」
T「ええ、はい。」
A「あなたが僕に、いや僕らに何をさせたかったのか、最初は確かに半信半疑だったけ
ど、何となく解った様な気がしてね。」
T「はぁ、そうですか。」
A「うん。『僕の選んだメンバーじゃない』っていうのはね、ある意味どういう結果になるか
正直責任持てません。ってことなんですよ。決して変な意味じゃなくね。だから逆に僕
らはついつい同じメンバーとばかり一緒に演ってしまうところもあってね。そういう意味
ではとっても新鮮だったわけ。特にピアノの丈青なんかは普通に演っててもなかなか
知り合うきっかけがなかったでしょう?」
T「そういうもんですかね?」
A「うん。実は彼とはあの日ちゃっかりお互い連絡先を交換していてね。あなたに紹介し
てもらったのに断りもなく、他の現場の仕事も頼んだりしてるんですよ。」
T「そんなの気にせずどんどんやってもらった方が・・・」
A「そう?それなら良かった。いやぁ、それでこういう企画は月に1~2本位今後もやった
らどうかと思ってね。僕以外のミュージシャンにも頼んでみたらいいんじゃないかな?
勿論、イヤだって言う人も中にはいるかもしれないけど、そうしたらやめればいいじゃ
ない。」
T「ええ。そうですね。ただ、うちの親父はあの企画は
あんまりって感じみたいですけどね。」
A「そぉ?僕は縁あってあなたのお父さんに声をかけてもらって、ずっとお宅で演らせて
もらってるけど、特に80年代の終わりから90年代にかけては、あなたのお父さんは
自分が出演して欲しいミュージシャンは他所のライヴハウスまで追っかけて聴きに
行って交渉してたでしょ?だから、当時ホントに第一線で活躍するミュージシャンが
一つの店のひと月のスケジュールにあれだけ名を連ねていたっていうのは、ちょっと
他にないと思う。言い方は悪いかもしれないけど、ちょっとマフィアのボスみたいな感じ
の勢いがあったよね。」
T「そういうもんでしょうか?」
A「うん。それで話は戻るけど、今回のあなたの、自分が気に入ったミュージシャンを集め
てセッションするっていうとっても贅沢な企画というか発想は、かつてあなたのお父さん
がやってたことに近いものを僕なんかは感じるんだよね。」
T「そうですかねぇ?全く違う発想だと思うんですけど・・・。」
A「まぁ、あなたはイヤかもしれないけど、『親子だなぁ』って思うんだよね。」
T「う~ん・・・。」
A「いやぁ、兎に角、ありがとうございました。また、声かけてください。」
T「いいえ、こちらこそありがとうございました。でも、ホントにいいんですか?」
A「そりゃぁ、誰でもいいって訳じゃないし、嫌な時はイヤだって言いますよ。
あんまり頻繁にだとキツイけど、たまに演ると新鮮でいいかなぁ。」
T「わかりました。」
A「今日は僕は演奏前だし時間ないけど、今度、ゆっくり一杯やりながら、また
話しましょう。どんな音楽好きなのかとか聞いてみたいし・・・。」
T「ええ、勿論です。」
こちらは終始、相槌をうっていただけだが、ホット胸を撫で下ろし安堵した。そしてまた、
「秋山一将」という人と少し打ち解けることが出来た瞬間でもあった。
text by TASCA-T
次回、第7章~Todd Rundgren×ニック・デカロ~ でまたお会いしましょう・・・
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by tascatasca
| 2008-12-24 18:21
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